デジタルハリウッド大学2014年卒業制作展の特別講演として、3月1日に河野プロデューサーが『エースコンバット インフィニティ』をテーマに講演「Aces at Operation: “Digital Hollywood”」を行った。
ちなみに、この講演は主に学生向けに企画されたものであるが、『エスコンINF』の新情報や正式サービス開始日が発表されるのではないかと注目されたのか、蓋を開けてみるとエースコンバットシリーズファンが参加者の多数を占めたらしい。
お知らせが遅くなりました!3月にデジタルハリウッド様で開催されました河野プロデューサーによる特別講演。この講演内で行ったスペシャルライブを収めた映像を本日からPlaystation®storeにて配信スタートしました!! #ACEINF
— エースコンバット公式 (@PROJECT_ACES) April 30, 2014
Playstation®storeにて「エースコンバット」と検索してください。「エースコンバット インフィニティ」 Live Performance がこのスペシャルライブの映像になります!#ACEINF
— エースコンバット公式 (@PROJECT_ACES) April 30, 2014
デザインの力
講演の始めに、まず河野プロデューサーの自己紹介としてこれまで関わった仕事について話した。河野プロデューサーがやってきた仕事と関係する話として2月のツイートも合わせて読むと良いのかもしれない。
ブランドは「デザイン」なしにはなり立たない。画も映像も音も、モニタをつけた瞬間に知覚に入るのは「デザインの塊」だ。日本の企業では、デザインの地位が低すぎる。appleには役員にデザイナーがいる。appleの製品群、そこに共通するイメージ、浸透するapple世界観。彼の仕業だ。
— Kazutoki Kono : 河野一聡 (@kazutoki) February 18, 2014
appleでジョブズが、パッケージまで自分で決定権を持ったのは有名な話だ。apple製品を購入し、パッケージを解く、その過程さえも、消費者はワクワクさせられて、魅せられる。appleの世界観の虜になっていく。ディズニーランドなんかもそうかな。
— Kazutoki Kono : 河野一聡 (@kazutoki) February 18, 2014
決して、製品だけがブランドを築くんじゃないんだと、一流のブランドなら、その世界観を持った店舗の外装、内装、お客様が手に取る環境からデザインが徹底されている。会社の世界観をデザインしている人間がいて、会社のイメージ、ブランドを保ち、顔を作っている。投資額も違う。
— Kazutoki Kono : 河野一聡 (@kazutoki) February 18, 2014
つまり、何が言いたいのかというと、『僕はデザインの力を信じている』。
— Kazutoki Kono : 河野一聡 (@kazutoki) February 18, 2014
正式サービス開始日発表まではもう少し?
先に書いておくと、講演の中で正式サービス開始日の発表は無かった。で、海外βテストからはどうなっていたかというと、想定の倍だった海外βテスト参加者から送られた膨大なフィードバックを分析してゲームに反映させるべく奮戦していたとのこと。
スライドに出てきた作業表を見ると、チームデスマッチの文字が見えますな(東京ゲームショウ2013の時点では、「要望があれば後で実装するかも」という話はしていた)。
そして開発は佳境に入ったそうで、「今日、新情報をお届けにきたということは、そろそろ、喜ぶ準備をしていただきたい!」と話した。サービス開始日の発表は近い?
オンライン共同戦役が大増量
さて、今回の講演はターゲットをABCDの4つ――「A:エースコンバットの名前は知っているがプレイした事は無い」「B:昔熱中していた」「C:現在エースコンバットのファン」「D:たまたまニコ生を見ている人」に分けた上で構成が組み立てたそうだが、Cのターゲット――シリーズファン向けの情報として『エースコンバット インフィニティ』の最新情報や資料が披露された。
上述の通り、βテスト参加者の意見を元に次のような変更が加えられたとのこと。
1.もっと手ごわい敵を!
……つーわけで、更なる強敵として「赤いアイガイオン」を用意したという。白鯨は素で厄介な相手だったけれど、真っ赤に激おこしたことで何が3倍になるのだろか?
2.もっと達成感を!
達成感が得られる要素が欲しいという声を受けて、チャレンジ(クエスト)を新設。
チャレンジの内容は「通り名を変えて出撃する」「戦闘機のLVを3以上に上げる」「指定戦闘機に乗って、指定兵器で敵を1機破壊する」といった感じで、クリアするとクレジットや特別契約アイテム(備蓄燃料、経験値ブースト系アイテム)がもらえるようだ。
それと数日経って思ったのだが、こういうチャレンジ要素を導入するなら、『Halo:Reach』のように「クレジット=階級(※マッチングレート・スキルレベルとは別物)の経験値」とするとチャレンジに挑戦するインセンティブになるかもしれないかな……と言ってみる(cf.HALO Reach wiki)。そうすればデイリーチャレンジ・ウィークリーチャレンジといった「毎日プレイする理由」が出来るのではないかなと。
3.もっと変化を!
βテストにおけるオンライン共同戦役は、ミッションアップデートで出現する強敵はランダムで決められるものの、他の通常の敵は出現パターンが1つしかなかった。これでは早い段階で作業プレイと化してしまうので、通常敵にも複数の出現パターンを用意してはどうかという意見を私も出した。
こういった意見から、通常敵にもランダム性を持たせたとのこと。
敵の出現パターンを増やすってのはミッションを新たに作るようなものなので相当な労力が掛かった思われるが、これで作業プレイ感が薄まると共に機体選びなど駆け引きの要素が強くなりそうですな。
4.もっと快適に!
マッチングのルーム表示の形式も変更。βテストでは「一定時間検索をして見つかったルームを一覧表示する形式」だったが、これだと表示に時間が掛かるという声があったという。
これを「マッチングを開始して逐次検索に掛かったルームを表示していく形式(リアルタイムで検索結果を表示していく形?)」に改め、出てきたルームにすぐ入るも良し気に入るルームを見つけるまでマッチングを待っても良しという事で、表示速度は体感で5倍早くなったそうな。
機体ツリーも刷新
話は前後するが、戦闘機ツリーやユーザーインターフェースも刷新したとのこと。
講演で披露されたスクショは最新版の物ではないそうだが、機体ツリーの配置は変わり、装備のアイコンも線画から色付きの絵に変わり、性能パラメーターの表示も目盛りが追加されているのが分かる。
気になる点も書いておくと、左のスライド――機体ツリー変更案の右端の項目にはモザイクが掛けられているが、βテストから機体やパーツが追加・変更されるのだろか? 機体に関してだとF-14D(F-14Aは使える)やJAS39 Gripen、Su-47がプレイヤー機から消えていたけれど。
キャンペーンモードの制作には小説版作者の山本平次郎氏が参加
更にキャンペーンモードの世界観設定、登場する人物・メカのデザインや絵コンテなどの資料も披露される。キャラクターの資料ではEDGEの顔を確認出来る。
キャンペーンモード体験版をやった人ならお分かりの通り、例の謎の無人機「MQ-90L“QUOX bis(クオックス)”」から『エスコンINF』は小説『エースコンバット イカロス・イン・ザ・スカイ』の設定が取り入れられているのではないかと推測されていたが、やはり小説の作者・山本平次郎氏がキャンペーンモードの世界観の設定に関わっているとのこと。
ライブで「ZERO」と「The Journey Home」を演奏
講演の後半では小林啓樹氏によるライブが行われ、今回はピアノ、フラメンコギター、バイオリン、ビオラの4つで演奏するためにアレンジされた「ZERO」と「The Journey Home」が披露された。ちなみに、フラメンコギターは実際に「ZERO」でギターを担当した後藤貴徳氏が演奏したが、小林さんが「普段曲しか作ってないので(トークとかは)一人じゃムリです!」ということで無理言って来てもらったらしい。
「ZERO」は中盤のピアノとギターのセッションからピアノの音も盛り上がる。『Halo3』のメインテーマもそうだけど、こういうピアノはアツさとか力強さとかを感じるよね。
ライブの後は、会場に来ていた糸見功輔氏を呼び出してトーク。サントラのリーフレットの書かれていたものより一歩踏み込んだ(西部劇、マカロニウエスタンのキーワードが追加)「ZERO」の制作舞台裏や、『エースコンバット・ゼロ』オープニングの制作秘話が明かされた。
あとメディアでは取り上げられていないが、『エースコンバット5』の「The Journey Home」は、小林さん曰く「『5』では眉間にシワを寄せる曲――プレイヤーに頑張らなきゃと思わせる曲ばっかり作ったのでくたびれた。その鬱憤から穏やかな曲を作りたいと思った、(世界は)本来こうありたいという想いを込めて曲を作った」のだという(サントラには似たニュアンスのコメントが書かれている)。
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