機動性の低さ故に他のフライトSTG以上に頭を使う? 『トリプル・キャノピーの魔女』感想

トリプル・キャノピーの魔女
Project ICKX コミックマーケット84新刊予告[トリプル・キャノピーの魔女]

 スペースホウライ伝説・Project ICKXの2013年夏コミ作品『トリプル・キャノピーの魔女』。2013年9月13日に委託頒布が始まってから大分時間が経ってしまったけれど感想を。

他作品より頭を使うゲーム本編

主役機R-17 BicephalicSnake 1[トリプル・キャノピーの魔女]

本作の主役機「R-17 BicephalicSnake」1

主役機R-17 BicephalicSnake 2[トリプル・キャノピーの魔女]

本作の主役機「R-17 BicephalicSnake」2

EFFY時代のR-17

参考として『EFFY』のR-17

 『トリプル・キャノピーの魔女』では、耐久性・継戦能力に優れるA-10Aのような機体であるR-17が主役機となっている。これは「政府軍が対ゲリラ戦用に使っていた機体を強奪して自軍の戦力にした」という設定から来ているのだけど、そのR-17の機動性(全てのRaidersの中で最低)ゆえに本編中は常に脳味噌をフル回転させられる事になる。
 まず、機動性が低いということは再び攻撃を仕掛けるのに時間が掛かる――攻撃のチャンスが限られるということで、確実に、そして効率良く敵を撃破できるよう立ち回る必要があるので頭を使う。次に、本作は背後からミサイルを撃たれると避け切れない虞が大きいため、敵の脅威度判定や位置関係の把握も他の作品以上にしっかり行わないといけない。

 また、「機体が変われば戦い方も変わる」ということを再認識させられるのも『トリキャノ』の面白さの1つかも。(私がそうだったけど)例えば『EFFY』で“あの兵装”のお世話になった人がそのまま本作でもソレを使うと歯がゆい想いをすると思われ。

 以上の点で、『トリキャノ』は他のフライトシューティングより頭を使うゲームだと言える。なのでフラシュー初心者の人は本作に手を伸ばすのはちょっと待った方が良い。むしろ、他の作品をいくつかプレイしてフラシューとはどんな物かを把握してから『トリキャノ』をプレイすると作品の風変わりなところ・面白さを理解しやすいのではないだろうか。

 なおゲームの構成は、始めの3ミッションはR-17を扱うための練習ステージな感じとなっていて、ミッション1は準備運動、ミッション2で空戦、ミッション3で対地攻撃を練習する。そしてミッション4以降に進むと敵の数が増えて難易度が急に上がる。

ブリーフィング画面[トリプル・キャノピーの魔女]

 ちなみに、『トリキャノ』のブリーフィングでは敵の詳細が表示されない。パナン族はリソースが乏しいというのを情報の少なさで表現している?
 その代わりに作戦エリアの風景を写した画像が表示されているけど、ミッションの舞台がどんな所かを伝える意味でこれをブリーフィングに組み入れるのはアリか?

ADVパートなどの演出面

 『トリキャノ』では自作界隈で関心が高かったADVパートが実装され、ストーリーの盛り上げに一役買っている。

『トリプル・キャノピーの魔女』のADVパート

 セリフ送りやスキップ機能、オートモードとADVの基本的な機能が実現している。ただバックログ機能が付いていないので、今作のADVパートはムービーシーンと役割がそれほど変わり無いとも言えるかも。ADVパートに関しては、バックログの実装が今後の研究課題となるか?
 ちなみに、ミサイルボタンの「メッセージスキップ」はF5の「全スキップ」と混同するかもしれないので、「次の台詞へ」とかに名前を変えた方が良いかもしれないと言ってみる。

 ストーリーは、ツンなフェイを操作するミッションパートと、ニヒルな雰囲気を漂わせる陣次郎の視点で描かれるADVパートの2本立てで進行する。陣次郎の心境の変化とフェイのツン具合の変動を見てニヨニヨしたけど、その二人を見つめるジャスティンはさり気なくイケメンさんで、本編を一通りやって魅力に気付くキャラかもしれない。
 それと議長の存在感の圧倒っぷりは言わずもがなだけど、アンジェさんも艶があって声が耳に残ったりする。

 あと曲について。PVで使われていたような、ジャッキー・チェンの映画だか東南アジア辺りを舞台にした映画で流れそうな曲が基本的に使われていてイメージを醸し出している。また、夜戦ミッションではテクノっぽい曲が使われ、サーチライトの演出と合わせて他のミッションとは一線を画している。

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