- 3月8日:「BitSummit 2014版PV」を追加。
同人ゲームサークル「Project ICKX」のコミックマーケット85新刊は『VERTICAL STRIKE -ALTERNATIVE-』。制作は『アサルトスフィア』『突然のダークコンドル』のRainbow Knightsだが、今作はProject ICKXが独自開発した新ゲームエンジン(正確にはフレームワーク)のお披露目という意味も込められている(なお、今回の新刊は体験版的な物)。
本記事では新ゲームエンジンでどんな事をやれるのかを紹介する。
「I3」でのキーワードの正体
新ゲームエンジンの名前は「alternator(オルタネータ)」。
ICKX新作"VS Alternative" 通称VSAはいかがでしたでしょうか?
— ICKX開発チーム (@ickx_alt) January 2, 2014
VSAは全く新しいフライトシューティングフレームワーク"alternator"(オルタネータ)によって構築されています。
alternatorは発展途上のフレームワークです。VSAを手に取られた方の感想をお待ちしています。
— ICKX開発チーム (@ickx_alt) January 2, 2014
ここでちょっと振り返ると、「alternator」は2013年3月下旬に開催されたICKXのイベント「I3(Indie games Ideal Image preview)」で示されたキーワードの1つだったりする。
出撃準備画面
『VSA』の出撃準備画面(ハンガー画面)はこんな感じに格納庫の様子も描かれている。
『VSA』ではメニューの項目をマウスカーソルで選択する事も出来るようになり、よりPCゲーらしくなった。ただ、十字キーでもメニューのカーソルを操作出来るようにしてもらえるとありがたいなぁ。
こちらは機体選択画面。機体性能のパラメーター表示が六角形グラフになった他、機体の種類(ファイター、マルチロール、アタッカーの区分)や一言コメントも表示されるように。
こちらは兵装選択画面。兵装選択画面ではカメラがパイロン部分にズームし、装備が機体に取り付けられた姿を眺める事が出来る。
装備は大きくメインパイロン・サブパイロン・オプション(センターパイロン)の3つに区分されているのは従来通りだが、『VSA』ではオプション部分に2種類の装備を積む事が出来るようになっている。
兵装にもパラメーターが設定され、兵装の種類(誘導型・無誘導型・砲)によってパラメーターの項目が一部異なる。
そして準備を整えて出撃を選択すると……。
まだ開発途中ってのもあるけど、外が黒一色ってのは寂しいですな。外から光が溢れてくるようにすると良いかな?
ミッションパート
念のため繰り返しておくと、『VSA』は空戦ミッションにはBGMや無線ボイスが用意されているが、対地攻撃ミッションと対艦攻撃ミッションは冬コミ直前に無理やり詰め込んだ物なのでBGMとボイスは無しである。
今お見せしたのはプロデューサの思いつきに振り回されたエンジニアの抵抗の結果です。
— EFFY開発チーム (@effy_staffs) December 29, 2013
なお、リリース直前の思いつきのためBGMや声もないよ!
ざっくり感想
これが『VERTICAL STRIKE -ALTERNATIVE-』のゲーム画面。コミケ会場で実機映像を見た時は空の広さとかにワクワクしましたなぁ。
ちなみに会場では試遊も出来たのだけど、タイミングによってはICKXのスペース前の人口密度がエラい事に。
ICKXの人が
あと、基本的に空を飛んでぶっ放す楽しさだけのパッケージなので、ゲーム性には欠けています。
— EFFY開発チーム (@effy_staffs) December 29, 2013
その代わり俺つえーは倍増。
――と言っていた通り、『VSA』は敵の数は多いけれど機体と装備の強さから基本的に無双出来るゲームバランスとなっている。なお、難易度ノーマル(4段階のうち上から2つめ)以上では敵機もフレアを使ってくるので歯応えもちゃんとあります。
ちなみに、敵の行動については気になる話が。
そういえば、対艦ミサイルが撃ち落されたような気がしたのだが、気のせいだろうか。何気なく目標追従視点で見てたらそんな感じのことが起こった感じだったので。
— くずまんじゅう (積みゲー11本) (@manjyu) January 3, 2014
@manjyu 落とされますよ。
— EFFY開発チーム (@effy_staffs) January 3, 2014
@manjyu ただし、フレアも含めてですけど『撃ったら撃破できる』という期待を裏切るので、基本的にはハード以上のみ動作にするかもですけどね。
— EFFY開発チーム (@effy_staffs) January 3, 2014
私も対地ミサイルAGM-65で攻撃した時に、ミサイルが敵の頭上で爆発して「あれっ!?」と思ったことがあるのだけど、あれも敵に迎撃されたのだろうか?
なお、資材部の懲りない面々の中の人が補足している通り、ミサイル迎撃は既に『突然のダークコンドル』で登場していたりする。
「突然のダークコンドル」にもそれっぽい演出は実装してあるんですが、今回のはマジですからね
— 資材部の懲りない面々 (@FET_SHIZAIBU) January 3, 2014
さてゲーム画面のレーダーの上に注目すると、『VSA』ではスコアやコスト(修理費・弾薬費)、残りのTGTの数がリアルタイムで分かるようになっている。ハイスコアを狙おうと思ったら攻撃の命中率も意識するゲームに変わるかな。
グラフィックについては、初めて実機映像を見た時は風景の美しさに惹かれたが、自分でプレイしてみると
- 戦車が砂煙を上げながら砂漠(砂丘)を爆走したり
- 水面に攻撃が当たると水柱が上がったり
- 更には砂漠に弾を撃ち込むことでも派手な砂煙が上がる
――など、より細かい芸が出来るようになっているのが確認出来る。また、敵機に大ダメージを与えると黒煙を噴きながら飛行する場合もありますな。
この他コミケ前に公開されたスクショを見ても分かる通り、機銃や対空砲の弾がオレンジの線状に表現された事で威圧感が増した気がする。
新機能あれこれ
『VSA』では大小様々な新機能が実装されたり改良が施されている。なおICKXの人曰く、『VSA』では完成版に搭載する要素の内3つを伏せているとのこと(cf.ICKX公式Twitter)。
マルチロックオン式ミサイル
使用出来る兵装の多さは相変わらずだけど、「alternator」になってついにマルチロックオン式ミサイルが実装された。これで多数の敵が相手でも勝つる!
また、セミアクティブレーダー誘導空対空ミサイル(エースコンバットで言うところのSAAM)も初登場。誘導の仕様は『エースコンバット6』辺りまでの物と同じみたい。『VSA』ではミサイル発射後に誘導対象の敵機をステアリングサークルに捉えると、サークルが点滅すると共に目標コンテナの脇に「Capture」と表示されるので、敵をより捕捉しやすくなっている。
余談で、ミサイルは種類によって発射の仕方が異なる。また飛翔速度もそれぞれ違いがあるので、ミサイルが飛んで行く様子を観察するのも一興だと思われ。
また、『VSA』には兵装発射ボタン長押しによるミサイル視点も搭載されてます。
フレア
他に新要素と言えばフレアも実装された。使い方は他のフライトシューティングと同じだが、『VSA』では初心者お助け機能として「フレアの自動射出機能」も搭載されている(オプション画面でオン・オフ選択が可能)。
自動フレアがあると攻撃に集中出来るようになるので初心者にとって助けになると思われるが、自動フレアをオンにした場合はリロード時間が長めになるというデメリットを加えても良いのではないかなという気もする。
ちなみに、自動フレアはやはり融通がきかない(明らかに無理な角度でもフレアを使用する)ところがある。けれどあんまり賢くてもどうかと思うので、フレアの使用判定は今のままでよろしいかと。
リミッターカット
あと熟練者向け機能として「リミッターカット」というのがある。リミッターカットボタンを押した状態で操作すると機体の運動性が上がるというものだけど、試したところ何か尋常じゃない動きがやれますな(汗)。なお気を付けて使わないとあっという間にストール状態に陥ります。
無誘導爆弾の投下地点
無誘導型爆弾を使用すると投下地点に円が表示されるようになり、爆弾を効率良く落とす目安が出来た。
艦船の本体部分
対艦戦闘では艦船の本体部分の目標コンテナが三角形で表示されることで、本体を直接攻撃するのが容易に。『EFFY』では大型艦船やラバーズの本体部分をロックオンすると「CRITICAL TGT」と表示されたけど、こっちは最初から本体の位置がハッキリ分かるという点で違う。
レーダー
マップの面積が広がったのに合わせ、広域レーダーがパワーアップして地形が表示されるようになったが、索敵レーダーも同じく地形が表示されるように。だが、レーダーについては3つ気になる点がある。
1つめはレーダーでは現在ターゲッティングしている敵が分からない点。これはターゲッティングしている敵を点滅させるかして改善してほしい。
気になる点2つめは、広域レーダーの範囲外に敵がいると一瞬「?」となってしまう点。
このスクショではスタート地点付近の敵を残しているが、撃ち漏らしなどで広域レーダーの範囲外に敵がいると一瞬「?」となってしまう。目標変更ボタンを押してターゲッティングすればターゲットロケーターが表示されて敵の位置が分かるのだけど、例えばレーダーの切り替えを「索敵レーダー→広域レーダー→全体マップ」という形に出来れば迷うことが無くなるかなと言ってみる。
3つめは環境によるものかもしれないけど、レーダーに表示される地形や戦場の風景によって索敵レーダーの線が見えにくくなる場合がある。
対地攻撃ミッションと対艦ミッションは問題無いのだが、対空ミッションだとスクショのように索敵レーダーの線が見えにくくなる。
それと、現時点では自機との高度差によって敵機のアイコンの大きさは変わらない?
その他の改善要望
上で書いたこと以外に改善して欲しい点が3つある。
まず、敵に攻撃が命中した時に「HIT!!」と表示されるが、撃破した場合も「HIT!!」と表示される。これでは敵に止めを刺せたかどうかが分かりにくいので、撃破時は「DESTROYED」などと表示するようにしてもらいたい。
2つめはICKX界隈でも意見が出ていたけど、目標切り替えのアルゴリズムの見直しもお願いしたい。旋回して正面に捉えた敵を攻撃したくても中々その敵をロック出来なくてもどかしく思う事が多々あるので。
あと優先度は低くて構わないが、HUDのピッチスケールでマイナス角度の表示線を点線(破線)にしてもらいたい。
リプレイモード
リプレイモードも機能が強化。カメラアングルは7種類+ランダム切り替えと大幅増。またリプレイ再生も0.5倍~1倍刻みで10倍速まで再生速度を上げる事が出来るのに加え、スローモーションも0.1倍刻みで行えるようになった。
一方で操作にクセがあるようで、「最初から再生」を選択した際に一時停止している場合は一時停止を解除しないと画面切り替え(巻き戻し)がされず、またスローモーションにしていた場合は切り替えがゆっくりになる。
「痒い所に手が届く」設定項目
選択肢が増えたゲーム設定
まずゲーム設定。カメラの焦点位置(ズーム・ワイド)の項目が新たに追加され、視野の広さを4段階から選べるようになった。また、後方視点も計器のピッチスケール表示をオン・オフする事で従来の後方視点に加えてエースコンバットの後方視点でプレイ出来るようになっている。ちなみに、HUDは全て非表示にすることも可能である。
機銃の照準も従来の方式(照準にウイスキーマーク(Wマーク)を合わせる)とエスコン方式(標的を照準に入れる)の2つから選択出来るようにしている他、自動照準補正機能も搭載されている。
あとICKXの新たな試みとして、今作には【色覚異常】持ちの人(日本人だと男性で20人に1人、女性で500人に1人の割合で発生)でも計器(HUD)の表示を見えやすくする「計器カラー切り替え(カラーバリアフリー機能)」が実装された。ちなみに商業では『World of Tanks』や『Call of Duty:Modern Warfare 3』でカラーバリアフリーが導入されている(冬休みが終わってから『パズドラ』も対応を発表しましたな)。
飛びながらの調整も可能に
コントローラー設定も改良が施され、キーコンフィグの設定を3つまで保存してすぐ切り替えられるようになった。
また、ゲーム中(ミッションパート中)でもボタン配置の変更はもちろんジョイスティック(アナログスティック)の感度を調整する――飛びながらの調整が可能になったりする。
エフェクトの設定もより細かく
ゲームの動作については、読み込み時間は過去作品と比べて軽くなったと思う(ミッションパートの動作の軽さについては、私のPCは限界を向かえて検証を行うのは無理があるので意見を差し控える)。なお、『VSA』ではエフェクトの使用設定が細かく行える。
三月兎、コミックZIN、ガレージ・フィールドでの委託頒布が決定
さて、コミケに行けなかった人は『VSA』の委託がされるのか気になるところだけど、三月兎とコミックZIN、そして大阪のガレージ・フィールド(旧ホワキャン大阪店)での委託頒布が決定。三月兎とコミックZIN秋葉原店は1月4日夕方に納品され販売が始まった。ICKXの今後を体験したい人は早めの購入を。
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